今は安定期に差し掛かる頃になるとエコーで赤ちゃんの性別を知ることができます。赤ちゃんが授かればそれだけで幸せなことですが、わかるなら知りたい、という気持ちもありますよね。
初めての出産だとお子さんの性別にそこまでこだわりはないかもしれませんが、たとえば2人目、3人目となれば「一姫二太郎」の言葉もあるとおり、「次は……がいいな」と考えるパパママがいても不思議ではありません。
それはいつの時代の夫婦も同じこと。全国には昔から「産み分け」「性別ジンクス」で知られる寺社が数多くあります。ここでは代表的な10の寺社をご紹介します。近くにあれば、安産祈願も兼ねて訪れてみてもいいですね。
この記事の内容
東北地方
妊婦さん自らが勧請した安産の神社 篠葉沢稲荷神社 〜福島県福島市〜
その昔、難産で苦しむ女性が多かった当地で、あるひとりの妊婦さんが神様からのご意志を授かって、現在の地にお稲荷さまを勧請したのが始まりとされる神社です。
ここでは安産祈願の際に「ご神枕」をいただけます。出産までその枕を使えば安産ですむといわれ、無事赤ちゃんが生まれた後には新たに作って2つお返しする風習があります。そのいただく枕の色が白なら男の子が、赤なら女の子が生まれるのだそうです。とはいえ、ママが希望すればどちらか好きな色の枕をいただけるようですから、ごくやんわりとしたジンクスのようですね。
奥州駒形山信仰の中心地 駒形神社 〜岩手県奥州市〜
かつて関東から分かれ、行く先々で形のよい山を見つけては「駒形山」と名付けた古い一族がいました。彼らが山頂に駒形大神を勧請した「駒形神社」の中でも大きく発展したのがここ水沢の駒形神社です。
坂上田村麻呂、源頼義・義家親子、そして藤原秀衡(ひでひら)らの厚い信仰を集めました。
本殿の隣に安産の神様が祀られた小さな社があり、木箱の中には「布製の赤い球と白い球」が入っています。
男の子がほしければ白い球を、女の子がほしければ赤い球を持ち帰り、拝めば健康な赤ちゃんが授かるという言い伝えがあります。
無事安産で済んだら、次の方のために新しい玉を作ってお返しするのが習わしとなっています。
JR水沢江刺駅より車15分
関東地方
皇居へも参内してお守りをささげた由緒ある観音さまのお寺 雨引観音(雨引山楽法寺) 〜茨城県桜川市〜
皇室と深い関わりのあるお寺であり、古くはあの推古天皇が自身の病気回復を祈願され、また聖武天皇の時代に光明皇后の安産を祈願したことで知られます(狩野尚信作の絵もあり)。
記憶に新しいところでは、現在の美智子妃殿下がお産の折、寺が皇居へお守りを捧呈して安産を祈願しました。
ここで安産祈願を受けると、「安産守」として腹帯といっしょに巻く小さな布がいただけます。
3つの文字が書かれたこの布の色が白なら男の子、赤なら女の子が生まれるといわれています。封筒に入っていますので忘れずに確かめ、あとはしっかり腹帯で巻いておきましょう。
この「安産守」だけを2千円で授けていただくこともできます。
古く貴重な書物をたくさん集めた「水戸の大師さま」 六地蔵寺 〜茨城県水戸市〜
平安時代初期に開かれた真言宗の寺で、学僧をたくさん輩出した「学びの寺」。室町時代に恵範上人が遊学先で教典の収集と書写に努めて以来、寺には貴重な書物が集められ、とくに江戸時代からその功績に脚光が当たり始めます。
所蔵の書物には「唯一の正本」「現存する中で最古」などのものが多く、すべて重要文化財や国宝に指定され、現在も研究が進められています。
さてこの寺では祈願された方に、木札、紙札と腹帯のセットが授けられますが、その腹帯の色が赤なら女の子、白なら男の子が授かるというジンクスがあるそうです。
しかし単に順番通り「赤、白、赤……」と交互に渡しているという話もありますので、そういう噂があるという程度に楽しみにしておくのがいいでしょう。
六地蔵寺入口下車徒歩5分
知らない人はいない鎌倉の安産祈願スポット 「おんめさま」 大功寺 〜神奈川県鎌倉市〜
「産女霊神」の石碑も立派な大功寺は、通称「おんめさま」で知られ、地元はもとより首都圏各地から大勢の参拝客が訪れる安産スポットです。
お寺はこの「産女の塔」が立つ以前からあり、室町時代の終わりに難産で亡くなった女性が「死後、宝塔を建てて私を祀れば女性は安産になる」と言い残したことから「産女霊神」が祀られ、以降は安産祈願の寺として知られるようになりました。
「おんめさま」とはこの「うぶめさま」がなまったものとも言われます。
この寺でいただける安産お守りセットの中には、「安産秘妙符」と書かれた包みが入っています。
ジンクスはその包みの中身が問題で、「白いカブト」か「赤い金魚」の折り紙が入っていて、もしカブトなら男の子、金魚なら女の子が生まれるという話です。
近畿地方
出産間近にも祈祷していただける 「わら天神」 敷地神社 〜京都府京都市〜
こちらも通称の方が有名になってしまった神社。北区にある「わら天神」とは、木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)を祀る京都随一の安産スポット、敷地神社のことです。
「わら天神」という名称は、妊婦さんの安産を願う気持ちに由来しています。
もともと敷地神社ではお供えを稲のわらで編んだかごに包んで奉納していたのですが、わらかごですから少しずつわらが抜け落ちることがありました。
のちにその抜けたわらを安産のお守りとして持ち帰るのが風習となり、さらに神社でわらを切り取って授けるようになったそうです。
当神社の性別ジンクスというのは、その刻んだわらに「節があったら男の子が、なければ女の子が生まれる」というものです。
またここは5か月目だけでなく、出産間近の「9か月9日」にも安産祈祷をしていただけます。
最寄りバス停:「わら天神前」下車、徒歩すぐ
JR「京都駅」より京都市バス50・101系統乗車(約30分)
光明皇后の安産を告げた如来さま 子安阿弥陀寺 〜大阪府和泉市〜
寺に如来像が安置されたのは今から1200年以上前のこと。時の聖武天皇のお后である光明皇后が難産であった折、東大寺四聖のひとりである行基が37日間の祈願に入っていました。
その満願日の夜明けに、光り輝く阿弥陀如来から皇子の安産を告げられたという伝説がある寺です。行基はすぐに桜の大木から如来像を刻み、安産の守り仏として寺に安置したといいます。
この寺では安産祈願の際に、以前お礼に寺へ返された腹帯、つまり「一度御利益があった」腹帯を授けることになっています。
当然そこには赤ちゃんの名前が書いてありますが、その名前が女の子ならば男の子が、男の子ならば女の子が生まれるジンクス(反対なので注意)があるそうです。
寺の本堂裏には安産によいと言われる「産神権現」のお社がありますので、お帰りの際にぜひこちらにもお立ち寄りください。
聖徳太子が建て秀吉が祈願した由緒正しき観音霊場 中山寺 〜兵庫県宝塚市〜
関西ではよく知られた安産スポットで、あの聖徳太子創建と伝わる観音菩薩のお寺です。
豊臣秀吉はここに祈願した後に秀頼を授かり、その秀頼が今も残る寺の伽藍を再建しました。
寺には「鐘の緒」と呼ばれる紐が保存されています。その昔、ここの観音様を信仰していた武士を困らせた妻がこの紐で戒められたという伝説があり、以来出産の無事を守る腹帯として祀られているそうです。
この鐘の緒によって明治天皇の安産にも御利益があったといわれます。
中山寺で安産祈願をすると、お守りなどといっしょに「腹帯」が授けられるのですが、そこにはすでに墨文字で「男」または「女」と書かれています。この性別とは「反対の」子が生まれる、というのが中山寺のジンクスです。
JR宝塚線 中山寺駅から北西へ徒歩約10分
あの桃太郎が主祭神の神社!? 日岡神社 〜兵庫県加古川市〜
今から1300年前に創建された神社で、第12代景行天皇皇后の初産が難産だったため、次の皇子を身ごもったときに天伊佐佐比古命(あめのいささひこのみこと・桃太郎のモデルといわれる)が当地で祈念したと伝えられます。
その後、無事に双子の皇子が産まれたのですが、その一人があの「ヤマトタケルノミコト」になります。この時の祈念の様子は今でも神社の神事「亥巳籠(いみごもり)」として伝えられています。
日岡神社では安産祈願を受けられた方にお札、お守りといっしょに「ご神供」を授けています。
ご神供とは「神に捧げた食べ物=米」であり、家で食べていただくのですが、このときにお米の数が奇数なら男の子、偶数なら女の子が生まれるといわれています。
またご祈祷後に神社の門を出てから最初に会った人が男性なら男の子、女性なら女の子が生まれるというジンクスもあるそうです。
九州地方
クスノキが守る子安の杜(もり) 宇美八幡宮 〜福岡県糟屋郡宇美町〜
神功皇后が応神天皇をお産みになった場所として知られる宇美ですが、その際に産所の四辺に八つの幡を立てて兵に守らせたことから「八幡大神降誕の地」ともいわれます。
西暦570年頃に神社が創建され、当時から安産や育児の神として厚く信仰されました。
社殿に向かって右側の「湯蓋の森」と左側の「衣掛の森」はともにクスノキの大木であり、国の天然記念物に指定されています。神功皇后のお産にまつわる名前が付いた樹齢2000年以上のご神木です。
境内の末社「湯方社」を囲むように、石を積んだ垣根のようなものがあります。これらは「子安の石」と呼ばれ、祈願を終えた妊婦さんが持ち帰り、無事に安産であれば初宮参りのときにお返しする慣習となっています。
石には赤ちゃんの名前が書いてあるのですが、女の子の石を持ち帰れば男の子が、男の子の石を持ち帰れば女の子が生まれるといいます。
性別ジンクスのある寺社は、全国各地どこにでもあるという訳ではなく、むしろ地域的な偏りがあるようです。北関東から東北、または近畿圏などに多く、ない地域には全く見られないこともあります。
体調が安定したら、気分転換に祈願と遠出も兼ねて、これらの寺社へ行ってみるとよいですね。