安産祈願に行きたいけれど、あいにく体調が…ご利益はよく聞くけど、家からちょっと遠すぎるし…そんなとき、あなたならどうしますか。
あきらめないでください。全国には、直接お参りできなくても代理祈願がOKだったり、授与品を自宅に送付してくれたりする寺社がけっこうあります。そんな妊婦さんに寄り添った優しい安産スポットを集めてみました。
この記事の内容
東北地方
陸奥国一之宮として厚く信仰された塩の神 鹽竈(しおがま)神社〜宮城県塩竈市〜
国府・多賀城の鎮守として重んじられた歴史ある神社。創建当時の詳細は不明ですが、奈良時代に造られた多賀城の「鬼門」東北に位置したため、蝦夷地の平定と国の守護を願い、赴任者たちの厚い信仰を受けました。後年には奥州・藤原氏や伊達氏にも重んじられ、とくに伊達家は歴代藩主がすべて大神主として奉仕してきました。
ところが古い神社には珍しく、江戸時代より以前のご祭神をめぐっては諸説あるようです。現在では有名な塩土老翁神などが祀られているとされ、博識で当地に製塩法を伝えた神として知られています。
塩竈神社では、現地に来られない妊婦さんの代わりに「安産御守セット」を郵送してくださいます。祈祷料など詳細については神社の方へお電話でお問い合わせください。
関東地方
力のお不動さまが明日の運気を開いてくれる 千葉厄除け不動尊妙泉寺 〜千葉県千葉市など3市〜
鎌倉時代中期に開かれた厄除けで知られる不動尊。開祖の妙泉法印は対馬藩十万石の九代当主・宗成職公で、当地・山田台に阿弥陀如来像を安置し、不動明王を勧請した方です。
厄除け、方位除け、八方除けにご利益があり、また病気の平癒にもお力を発揮される不動さまといわれます。東京の目黒不動尊、飛不動尊と並んで「関東厄除け三不動」と呼ばれています。
妙泉寺では、妊婦さん欠席でも安産祈願を受け付けてくれます。お寺のHPから欠席での祈願を書面で申し込み、現金書留で祈願料(5千円または1万円)と送料(実費)を送れば、お寺からメール便で腹帯、安産お守りなどが送られてきます(返品は不可)。
一度は廃れるも開拓で再興した水害を鎮める神 横浜水天宮 〜神奈川県横浜市〜
もとは江戸貞享年間に勧請された水害の守護神。まだ横浜で新田開発がされていた頃、度重なる水害から土地を守る神として信仰されていましたが、のちに廃れてしまいます。
明治に入って開拓の際に河野与七によりご神体が再び発見され、社殿が建立されました。太平洋戦争の戦火にも巻き込まれるなど、神社は幾度も存亡の危機に立たされますが、河野氏の子孫などによって守られ、平成10年に杉山神社と合祀されて新たな「水天宮」としての歴史を歩み始めました。
横浜水天宮では、神社に来られない方のために郵送による授与品の送付を行っています。書留で初穂料(5千円または1万円)と送料(一律千円)を送れば、お祓い済みのお札、お守り、腹帯などを送っていただけます。
悪事災難すべてを除く八方除けの神 寒川神社 〜神奈川県高座郡寒川町〜
1500年以上の歴史を持つ関八州鎮護の社。神亀4年(727)に社殿建立という記録がありますが、正確な創建時の様子はわかっていません。
当初から唯一の「八方除け」ご神徳で知られ、その後の方位除け、陰陽道などに影響を与えたとされます。相、方位、日柄などに由来するすべての災難を取り除くことで、家庭に円満繁栄をもたらすというのが教えです。
寒川神社では事情で現地に来られない方のために、郵送などによる祈願申し込みを受け付けています。方法は郵送、FAX、手紙の3種がありますが、祈祷料と送料の送付方法にそれぞれ違いがありますので、ご注意ください。申込用紙等の詳細は公式HPをご覧ください。
中部地方
今川家落人の妻のために祈った観音さま 産女山正信院 〜静岡県静岡市〜
通称「産女観音」として知られる子授けの寺。永禄10年(1567)に開かれ、身体健全や虫封じなどのご利益もあります。
寺に伝わる縁起によると、桶狭間の戦いに敗れた今川側の落人の妻が、難産の末当地で亡くなります。女性は成仏できずに現れ、千手観音を祈るよう村人に頼みます。その後村にほこらが建てられ、女性は産女大明神として祀られました。村の名は「産女」となり、お寺の山号も「産女山」になったということです。
産女観音では、遠方でお参りできない方などのために、授与品の郵送を受け付けています。お寺のHPにある問い合わせフォームで申し込み、連絡が取れ次第ご祈祷していただく順序となります。お札一式とお守りはその後郵送されます。祈祷料などの詳細は、申し込みの時におたずねください。
美しい龍神伝説が残るお寺 龍宮山岩水寺 〜静岡県浜松市〜
行基作という薬師如来が安置されている真言宗のお寺。神亀2年(725)開創とされていますが、それから100年ほど経った頃、かの坂上田村麻呂公と天竜川の龍神が当地で恋に落ちたという伝説が寺に残っています。
やがて二人の間に生まれた一子・俊光公は、母である龍神の魂が刻まれた子安地蔵を寺に安置します。つまりこの寺のお地蔵さまは「女性」ということになり、そこから「家をまもるは岩水寺」という有名な一節が生まれ、家内安全、安産子授けのご利益につながるとされています。
岩水寺では、お寺に祈願に来られない方のために、授与品の郵送を受け付けています。とくにご神体やお守りなどの「安産祈願セット」はインターネット限定となります。また別途料金で腹帯もいただくことができます。
近畿地方
聖徳太子が創建した西国観音霊場 中山寺 〜兵庫県宝塚市〜
日本最初の観音霊場であり、関西きっての安産祈願スポット。ご本尊は安産の観音さま、十一面観世音菩薩。
有名な安産シンボル「鐘の緒」は、多田城主・源行綱公の妻の不信を戒めた印と伝わり、以後女性の出産無事安泰を守る「腹帯」として大切にされてきました。皇室の信仰が厚く、明治天皇ご出産の折には、当寺の「鐘の緒」を受けられたことでも知られ、関西はもとより全国から参拝者が絶えません。
中山寺では、直接お参りできない方のために、郵送でのご祈祷申し込みも受け付けています。祈祷料(安産祈願は別途料金を切手で加えて)、必要事項を添えて書留で申し込んでください。お寺の郵便番号だけでも到着するそうです。
中国地方
三種の神器のパワーで安産を願う 白崎八幡宮 〜山口県岩国市〜
鎌倉中期に創建された白崎山に鎮座する八幡宮。もとは時の領主により遠石八幡宮のご神霊を祀ったのが始まりで、その際、神は「白鷺」の姿で現れたとされ、神社に奉納されている絵にもその様子が描かれています。
当神社で授かる安産のお守りは「御神鏡型」といい、あの三種の神器のひとつ「鏡」をモチーフとしたもので、何度もマスコミに紹介されています。
白崎八幡宮では、祈願に来られない方のためにインターネットによる祈願と授与品の発送を受け付けています。授与品は戌の日の祈願時に供えられ、その後妊婦さんの元へ送られます。
他にも白崎八幡宮では、各種お守り、パワーストーン、縁起物など、他の神社には見られないほどたくさんのグッズが通信販売されていますので、お願い事にあったものを探してみるのもいいでしょう。
九州地方
全国にある水天宮はすべてここから始まった 全国総本宮水天宮 〜福岡県久留米市〜
安徳天皇の母に仕えていたひとりの女官によって始まった子どもの守護。
壇ノ浦の戦い(1185)ののち数年たって、亡くなった天皇をはじめ平家の武将たちを弔うために祀ったのが発祥で、元女官の確かなご利益から「尼御前神社」と呼ばれました。当初は農業・漁業に欠かせない「水の神」として庶民の厚い信仰を受け、そこから現在の子どもの守護「水天宮」へと発展しました。
明治天皇ご出産の折、父の孝明天皇は当地で安産を祈願されました。まためでたくお生まれになった後に紅白の「鳥の子餅」を捧げられたことも有名です。
水天宮では、直接来られない方のために「通信祈願」を受け付けています。
HPからメールまたはFAXで必要事項を送ると、祈願後に妊婦さんの元へお札や腹帯が届けられます。祈願料などは直接お問い合わせください。
安産祈願はママの体調次第ですから、寺社の方でも来訪が難しい時があることは十分承知しています。この他にも授与品の郵送や代理祈願などに対応してくれる寺社があなたの街の近くにあるかもしれません。体調と相談して無理せず予定を立ててください。
そしてめでたく安産で済んだあとには、ぜひ「お礼参り」に出かけてください。それが難しければ再び「お守りを郵送で返却」してもいいでしょう。そうすれば次の妊婦さんへとあなたの思いがつながっていくのです。